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臨床工学技士とは -東京工科大学 医療保健学部 臨床工学科 穿刺実習を見学-

臨床工学技士の勤務先や業務内容について簡単にご紹介。
未来の臨床工学技士を養成する東京工科大学 医療保健学部 臨床工学科 様の穿刺実習を見学させていただいた様子とともにご紹介させていただきます。

目次

● 臨床工学技士とは

● 臨床工学技士の勤務先

● 主な業務内容

● 「血液透析」とは

● 東京工科大学 医療保健学部 臨床工学科 穿刺実習 見学


臨床工学技士とは

臨床工学技士(りんしょうこうがくぎし)とは、ひと言でいうと医療機器の専門家です。ME(Medical Engineer)、CE(Clinical Engineer)とも呼ばれます。人工呼吸器、人工心肺装置などの命に直接かかわる「生命維持管理装置」の操作やメンテナンスを担当します。定期的に医療機器を点検し、使用中の故障や事故を防ぎます。高度な医療機器を安全で効率的に使用するには、臨床工学技士の専門的な知識と技術が必要です。現在、臨床工学技士の役割はますます重要になっています。

臨床工学技士の勤務先

主な勤務先は、病院・診療所などの医療機関です。臨床工学技士が扱う機器は、人工呼吸器や血液浄化装置などの専門的治療に用いられるものが多いため勤務先はほぼ医療機関となります。医療機関以外では、メーカーにて開発に携わったり、現場で臨床経験を積んだのち臨床工学技士を養成する大学や専門学校などの講師として活躍する道もあります。

公益社団法人 日本臨床工学技士会
「2020年度臨床工学技士の業務実態調査結果概要」より

主な業務内容

1. 医療機器の操作
人工呼吸器、透析装置、心臓ペースメーカーなど、さまざまな医療機器の操作を担当します。
手術室や集中治療室での機器操作も含まれます。

2. 機器の保守・点検
定期的なメンテナンスや点検を行い、機器の故障を未然に防ぎます。
機器の修理やトラブルシューティングも行います。

3. 機器の導入・教育
新しい医療機器の導入時に、医師や看護師に対して操作方法や安全使用法の教育を行います。
機器の選定や購入のアドバイスも行います。

4. 患者のモニタリング
各種モニタリング機器を使用して、患者の生命兆候を監視し、異常があれば迅速に対応します。

5. 技術の研究・開発
新しい医療技術や機器の開発、改良に関わることもあります。

▶専任で従事する業務

項目n数割合
血液浄化業務408051.3%
保守点検管理業務7028.8%
心・血管カテーテル業務4265.4%
アプレーション業務2102.6%
人口心肺業務4005.0%
高気圧310.4%
呼吸治療業務1702.1%
手術領域(周術期を含む)での業務4135.2%
集中治療領域での業務2082.6%
ペースメーカー業務(植込み型除細動器等を含む)1411.8%
内視鏡関連業務2112.7%
なし7129.0%
その他2433.1%
合計7947100.0%

臨床工学技士の専任する業務で最も大きな割合を占める
血液浄化業務 の「血液透析」とは

血液浄化療法は、臨床工学技士の重要な業務の一つで、主に腎機能が低下した患者や特定の毒素を体外に除去する必要がある患者に対して行われます。

この療法にはいくつかの種類があり、特に血液透析の場合は、慢性腎臓病や急性腎障害、尿毒症、特定の急性疾患や遺伝性疾患などの患者に対して行われます。

血液透析は、患者の血液を体外に取り出し、透析装置を通して不純物や余分な水分を除去した後、浄化された血液を体内に戻す方法です。

その処置を行うために必須となってくる手技が、『 穿刺(せんし) 』です。
体内から血液を取り出すところと、体内へ血液をもどすところの2ヶ所の穿刺が必要となります。

タスクシフト・シェアにより、臨床工学技士の業務範囲が拡大され、シャントへの穿刺のみならず、静脈路確保(※注1)のための穿刺についても臨床工学技士が行うことができるようになりました。

これにより多職種連携のスキルの習得、実践的なシミュレーション教育の導入が進められています。

シャントとは…
血液透析を行うために必要な血管アクセスの一種で、主に「動静脈シャント(AVシャント)」として知られています。シャントは、動脈と静脈を直接つなげる外科的手術により作られ、血液透析中に効率よく血液を取り出し、浄化し、再び体内に戻すことを可能にします。

※注1
生命維持管理装置を用いた治療において当該治療に関連する医療用の装置(生命維持管理装置を除く) の操作 (当該医療用の装置の先端部の身体への接続又は身体からの除去を含む)
①手術室又は集中治療室で生命維持管理装置を用いて行う治療における静脈路への輸液ポンプ又はシリンジポンプの接続、薬剤を投与するための当該輸液ポンプ又は当該シリンジポンプの操作並びに当該薬剤の投与が終了した後の抜針及び止血(輸液ポンプ又はシリンジポンプを静脈路に接続するために静脈路を確保する行為についても、「静脈路への輸液ポンプ又はシリンジポンプの接続」に含まれる。)
【 公益社団法人 日本臨床工学技士会 法律改正により追加される業務より 】

臨床工学技士養成施設においては、「輸液ポンプやシリンジポンプを用いた薬剤投与、静脈路の確保・抜針」は必須教育項目、 「血液浄化装置の先端部(穿刺針)のシャント若しくは表在化された動脈若しくは 表在静脈への穿刺及び抜去、止血」は実施又は見学させる行為とされています。
【医政医発0331第7号 (令和4年3月31日)臨床工学技士法第14条第4号の規定より】


貴学の穿刺実習では、採血練習キットsensitiv®(センシティブ)をお使いいただいております。
また、今回は留置針を用いて穿刺実習が行われました。

採血練習キットsensitiv®本体+模擬血液バックセット
採血練習キットsensitiv®
留置針

留置針とは
主に点滴や薬剤の投与を目的として、血管内に留置する針やカテーテルのことを指します。

先生や外部講師の方から使用する針、手順等についてしっかりと説明を受けた後、生徒のみなさんはひとつひとつ確認しながら、初めての穿刺に緊張とワクワクした様子で実習に臨まれていました。

怒張した血管
手がふるえる
逆血
確認
★YouTubeで実習のご様子をご覧いただけます

エプロン・手袋をした後、
1 . 駆血帯を巻く
2 . 消毒
3 . 穿刺
の順番で実習を行いました。

怒張した血管の感触を確かめたり、針の進め方を確認したり、上手く針を刺すことができているかを横から確認したり、みなさんとても熱心に実習に取り組まれていました。先生から終了の合図があるまで、何度も穿刺にトライされていました。

講師の先生より、実際の現場ではまだまだ静脈路確保の機会は少なく、シャントへの穿刺がほとんどということでしたが、今回使用した採血練習キットsensitiv®について、下記点をご評価いただきました。

・ ディスポーザブルの手軽さ
・ 実際に駆血帯を巻くと圧がかかり怒張するところ
・ 穿刺の一連の流れが実施できるところ
・ 浮腫が再現できるところ

シャントへの穿刺は、通常の血管への穿刺と感覚が異なる(刺した時の感触がもっとある)ため、太径の血管の穿刺や自己血管とグラフト血管の方さの違いが再現できたらすごくいいとのことでした。

東京工科大学 医療保健学部 臨床工学科 上條 史記 先生
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看護師の採血・点滴練習のために開発された採血練習キットsensitiv®が、臨床工学技士の方の穿刺実習にもご活用いただけること大変嬉しく思います。

先生からいただきました貴重なお言葉をもとに、より一層お客様の求めるもの、お悩みを改善できるものへ進化させるべく尽力いたします。

株式会社ケー・シー・シー・商会は、採血練習キットsensitiv®を通して看護技術の向上に貢献いたします。